「広い」大学、「狭い」大学。(前編)
大学名と地名の関係は前の記事でも触れましたが、今回は、大学名に使われている地名の「広さ」「狭さ」を調べてみたいと思います。
大学名の地名の「広さ」「狭さ」とはどういうことか? 例を挙げます。
東京都渋谷区に「青山学院大学」という大学があります。ここで注目するのは、同校の敷地面積でも、所在する東京都や渋谷区の面積でもなく、名前に含まれる「青山」という地名が指すエリアの面積です。
「青山」という地名は、一般的には東京都港区の「北青山」と「南青山」を指すようです。それぞれの面積は、
北青山=0.5 km^2
南青山=1.37 km^2
ですので、「青山」としての面積は両者の合計となり、
青山学院大学=1.87 km^2
と考えるのです。
同校の所在地は渋谷区、「青山」の所在地は港区で行政区が異なりますが、ここではそれも考慮しません。
このように、大学名から地名を取り出して、その地名が付けられたエリアの面積をみてみよう、というのが今回のコンセプトです。
なお、調べるにあたり以下のルールを設けました。
- 該当する地名が複数ある場合は、その大学の現在または過去の所在地に最も近いエリアの面積を採用する。
(例)「京都大学」の場合、「京都府」「京都郡(みやこぐん。福岡県)」「京都市」が候補になります。これらのうち京都府と京都市の方が同校の所在地(京都市左京区)に近いため、ここでは京都府か京都市の面積を採用することになります。
- 該当する複数の地名の一方の領域が他方の領域を含む関係にある場合は、最も広域のエリアの面積を採用する。
(例)上記の「京都大学」の場合、「京都府」は「京都市」を含んでいるので、ここでは京都府の面積(4,612km^2)を採用します。
- 都道府県よりも広域の地域名・国名も取り上げる。ただし日本の旧国名(武蔵国や大和国など)は時代によって該当エリアが異なり面積の特定が難しく、やむなく割愛しました。
- 面積のデータは、Wikipedia記載のものを採用する。Wikipediaに面積が記載されていない場合は、Google Mapの距離測定機能で算出された面積を採用する。
ではここから、ランキング形式で大学名の「広い」「狭い」を比較します。
「広い」大学名上位10校は以下のとおりです。
「広い」大学名TOP10
第10位 東北/67,000 km^2
第10位は「東北」でした。いわゆる「東北六県」の合計面積を採用しています。「関東」「関西」など他の地方名でも同様に面積を算出しましたが、それらの中ではこの「東北」が最大でした。
第9位 北海道/83,000 km^2
第9位は「北海道」でした。都道府県名では唯一のTOP10入り。地方名で最大の東北地方を凌ぐ広さです。やはり北海道は大きいです。
第8位 西日本/165,000 km^2
第7位 東日本/213,000 km^2
第8位は「西日本」、第7位は「東日本」でした。それぞれの面積は上記の各地方の合計を採用しています。具体的には富山県・岐阜県・愛知県・静岡県以西を西日本、新潟県・長野県・山梨県・神奈川県以東を東日本としました。
第6位 日本/378,000 km^2
第6位は「日本」でした。日本国内の地名ではこれ以上広いものは存在しないわけですが、惜しくもTOP5入りならず。世間の大学ランキングと同じく、上位にくい込むためには、グローバルでインターナショナルな視野が必要になってくるようです。
第5位 東亜/11,839,000 km^2
グローバルでインターナショナルは良いのですが、ここから面積確定が難しくなってきます。
第5位は「東亜」でした。ここでは東亜=東アジアの面積として、日本・台湾・韓国・北朝鮮・中国・モンゴルの合計を採用しました。「東洋」も同じ範囲を指していると考えて良いかもしれません(東洋大学〔東京都文京区〕など)。
第4位 ノースアジア/13,100,000 km^2
第4位は「ノースアジア」でした。ノースアジア=北アジアは、ロシア連邦のウラル連邦管区・シベリア連邦管区・極東連邦管区の範囲を指すようなので、その面積を採用。中国北部やモンゴルなどを含んださらに広い範囲を指すこともあるようですが、その場合でも順位は変わりません。
第3位 アジア太平洋/29,300,000 km^2
- 該当エリア:アジア太平洋
- 使用校名:立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)
第3位は「アジア太平洋」でした。いよいよ面積確定が難しくなってきました。ここではWikipediaの記述に従い、東アジア・南アジア・東南アジア・オセアニア地域の各国の面積を合計した数値を採用しました。
第2位 亜細亜/44,579,000 km^2
第2位は「亜細亜」でした。ここでは亜細亜=アジアを、極東から中近東までを含む地域として考えました。調べる前は、これが「最大」だろうと予想していました。
第1位 環太平洋/65,426,000 km^2
第1位は「環太平洋」でした。ここでもWikipediaの記述に従い、太平洋に面する国々および太平洋上の島国の合計面積を採用しました。ロシア・アメリカ・中国・オーストラリアという、広大な面積を誇る国を取り込むことができたのが勝因と言えるでしょう。
後編では、「狭い」大学名TOP10をみたいと思います。どちらかというと、狭い方が調べていておもしろかったかも。0.01 平方キロを競う、熾烈な戦いをお楽しみください。